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コラムるべ !!
「書き殴り」や「想い出のバックアップ」のコーナー

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「俺、もうだめだー!!!」

と言ったのは私ではない。当時中学生だった頃の超痩せ型で柔道部の「キタちゃん」と呼ばれていた彼の言葉。部活で鎖骨を折っていたキタちゃんは死をも覚悟したと言う。私はその現場に居た訳ではなく、その事件の翌日に「アラライ」という一癖どころか百癖くらいある友人が笑い転げながら話していた事だ。

私の中学校は毎年、市営の競技場で陸上競技大会を開催していた。その場所は私たちの住む町内からは川を挟んで反対側にあった。その場所がちょっと厄介で、数キロ離れた2本の橋のちょうど中央の川を挟んだ所に位置していた。

私はいつもアラライと帰宅していたが競技大会の日はたまたま一緒ではなかった。その日アラライはキタちゃんと一緒に帰宅していた。その時アラライはどうしても回り道をして帰るのがイヤだと言いキタちゃんに「川渡って帰るべ!」と言い放った。

彼が言い出したら聞かない奴だと言うことは誰もが知っている。当然キタちゃんも。一応断ったがやはり無駄で無理やり川の方へ連れて行かれる。その川は「石狩川」と言う北海道で一番大きな川。前の日の雨で増水もしてる。川幅は考えただけでも恐ろしい。

アラライもさすがに自転車に乗ったまま渡ることができず降りて川の中へ。キタちゃんもそれに続く。が、鎖骨を折っていたキタちゃんは川の中央で身動きが取れなくなった。水は胸のあたりにまで及ぶ。アラライはズンズン進んで行くがキタちゃんは動けない。その時、オホーツクの海のように荒れ狂った川の中央でキタちゃんが発した言葉が「俺、もうだめだー!」であった。

アラライは放っておく訳にもいかずキタちゃんの自転車と自分の自転車をかついで渡りきったと言う。確かに私も笑い転げながらこの話を聞いたが、もし自分が一緒に帰っていたらと思うと少しだけゾッとしかけたが、やはり笑いで腹が痛かった。

(2000/06/27)

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