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コラムるべ !!



ゴムボート 〜彼はヒーローになれるのか?

そういえばここ何年か海水浴に行ってない。東京に来てからは一緒に行く友達もいないし、車も無いし、場所も知らないし。実家へ帰るときはいつも正月なので海水浴なんか行けるわけ無いし。

昔は良く海に通っていた。ドライブが大好きなので何かと理由をつけては海へ行った。ラーメンを食べに海までわざわざ片道60キロを走ったこともあった。


大学一年の時、高校時代に一緒にバンドを組んでいた男4人女1人のメンバーで海水浴へ行った。

みんな浮き輪とかビーチボールしか持ってきてなかったのだが、ボーカルの「つるぢ」が自慢げに「これよ、あそこで2980円で売ってたんだよ」って言いながらゴムボートを出してきた。

「おぉ〜」と皆が注目する。値段は安かったが座れば二人くらい乗れるし空気を入れるポンプも付いていた。高校生だった頃はかさばるので誰も海水浴には持ってこなかったゴムボート。車を持つと持ち歩けるアイテムが増えるんだな。

早速ゴムボートに空気を入れることに。まずは持ち主のつるぢがボートにポンプを刺し「いくぞー!」と叫んだ。初めてゴムボートを持ってきた彼はヒーローになった…、はずだった。

ポンプに足をかけ思いきり踏み始めた。いちっ、にっ、さんっ、ボフッ!

ん、ボフッてなんだ?良く見るとポンプの足で押す部分が裂けていた…。「あ〜あ」みんな冷たい眼差しでつるぢを見る。「あはは…、こ、壊れちゃった」。「どーするんだよ、コレ」「全く空気入ってないじゃん」となじられるつるぢ。

追いこまれた彼は「そ、そうだ、みんな交代で口で直接空気を入れようじゃないか!」と提案した。

空気を入れる順番はジャンケンで決めた。何人目かに紅一点の「浜ちゃん」の順番が訪れた。そして彼女が空気を入れ終わり次の人の順番になった時に事件は起こった。


「次は俺だー!」「いいや、俺がやる!」「浜ちゃんの唇は俺のものだ!」と浜ちゃんが口をつけた後、男4人のゴムボート争奪戦となった。あれは今思い出してもすさまじい争いだった。たかだか間接キスにあれだけ争っている男たちを見て浜ちゃんは幸せだったに違いない(笑)。


いろんなトラブルを乗り越えてようやくゴムボートが完成した。さっきの争いでもう皆クタクタに疲れていたので誰も乗らなかったのだが、ゴムボートを買った本人は「せっかくだから」と海へ入っていた。

ボートに乗りこんですぐ「うわ〜沈む〜!」と慌て出した。ゴムボートは壮絶な浜ちゃんの唇争奪戦でかなり痛んでいたらしい。ボートは綺麗な夕日と共に沈んで行った。

と言うことで、彼はヒーローになれなかった(爆)

(2000/08/31)

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